性病(STD)の現状

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STD(性病)の現状

「排尿時に痛みがある・・・・」

 男性の尿道炎の原因になる菌の中には、セックスでうつる病原体が少なくありません。これがSTD(性病)です。

 STDとはSexually Transmitted Disease (性行為でうつる病気)の略で、日本で古くから知られてきた性病(淋病梅毒)よりも広範囲の病気を指します。

 性行為でうつる可能性のある病気として、淋病梅毒のほかにも、クラミジア性器ヘルペスエイズ(HIV)、B型肝炎、尖圭コンジローマ、トリコモナスなど、多くの病気があります。



淋病ですら・・・

 1980年代末から、世界各地でエイズ(HIV)が問題になり始めた。エイズ(HIV)とはHIV(ヒト免疫不全症候群)というウィルスによって引き起こされる感染症であります。当初は感染したら、発症を防ぐ手立てがなかったことで、全世界に恐怖心を煽ったことです。

 しかし日本では「男性同性愛者やドラック常習者はより危険」ということが前面に立ち、「男女間の普通のセックスでうつるSTD(性病)のひとつ」という本質が隠されてしまいました。

 エイズ(HIV)騒動の影で何が起こっていたかというと、日本においては性病(STD(性病))が増えています。なかでも女性のクラミジア有病率が高くなっており、90年代にはいって一度は減少した淋病がここ最近になって急速に増加してきています。HIV感染者にくらべはるかに治療しやすいはずの淋病ですら抑えることのできないでいるのが今の日本の現状です。不用意な抗生物質(抗菌剤)の乱用で薬に対してやたら強い耐性淋菌ができてしまった結果が淋病増加に結びついていると考えられています。



日本では

 STD(性病)を防ぐ方法は実に単純なことです。性行為の際に必ずコンドームを使うようにすればよいのです。事実タイやカンボジアでは、性風俗店でのコンドーム使用を義務付けた結果、HIVの流行が鈍化している傾向にあります。

 しかし日本で国を挙げてコンドームの使用を取り組むというのは難しいことでしょう。国も医者も、患者も「性病」という言葉につきまとう薄暗いイメージが払拭できないのです。特別な人の特別な病気、運悪くかかったら、こっそり治すもの、そんな認識がはびこっており、日本はSTD(性病)大国へと変化しているようです。



うちの子に限って

 日本では、すべての年齢層でSTD(性病)の増加傾向が見受けられます。とりわけ多いのが10代後半から20代の若い世代です。最も性交渉に興味を持ち盛んな世代といってもいいと思います。

にもかかわらず、「子どもはセックスしない存在」という思い込みをぬぐいきれない大人が多いのも現状です。いざ自分の子供がSTD(性病)になると「うちの子に限って・・・」と思うのが親かもしれないが、その感覚が事態を悪化させているといっても過言ではないようです。



行動すれども知識は不十分

 性情報の氾濫はひどい状況である。7000人以上の高校2年生を対象にしたある調査によれば、小学校時代に約6割が、中学3年生ではほとんどの子供が「セックスとはどういうことをする行為か」についてわかっていたと報告されています。

 子供はセックスを知っている。知れば行為に移すであろうことは安易に想像のつくことであります。実際に都内の高校生3000人あまりを対象にしたある調査によると、高校3年生の4割程度が「性体験がある」と答えています。またセックスを経験している生徒の約7割が初交は15~16歳と答えていて、低年齢化が進む傾向にあるようです。

 しかしセックスに伴なう危険性について、子供たちが十分に認識して行動しているかどうかは疑問の余地が残ります。ある調査によると大半の高校生はエイズ(HIV)は性病であると認識しているにもかかわらず、クラミジアは3割程度の高校生が性病であるとは知らなかったという報告があります。

 遅くとも中学1~2年までには避妊だけでなくSTD(性病)を防ぐ方法を含めた性教育を行なう必要性があるといえるのではないでしょうか。



子供の性教育について

 子供の性教育に対しては「寝た子を起こすようなものではないか?」という意見が常にあります。しかし放っておいても子供たちはセックスについての情報を必ず目にします。学校での性教育を受ける前に、友達どうしの会話や漫画、雑誌、インターネットなどからも情報を得ている子供も少なくないのが現状です。

性に対して興味を持ったとき、手にする教材がエッチ漫画やアダルトビデオ、アダルトサイトでは正しい性教育はできないのではないでしょうか。



10代の男女に蔓延するクラミジア

 無防備なセックスを繰り返すうちに、若い世代でSTD(性病)が広がっている現状がある。

 通常クラミジアが感染・発症するのは、男性では尿道炎、女性では子宮頚管炎であります。10代・20代の女性子宮頸部は円柱上皮といわれる粘膜部分が膣内に大きく露出しています。クラミジアはここに好んで繁殖します。解剖学的に見て、若い女性はクラミジアに感染しやすい条件を持っているといえます。

若い女性に多ければ、そのセックスパートナーである同世代および少し年長の男性にも多く見られるのは当然ともいえるでしょう。



クラミジア以上に多い、危険なウィルス感染

 クラミジアよりもさらに深刻なのは、HPV(ヒトパピローマウィルス)の感染率であります。

 HPVにはいくつかの型があり、性器周辺には無数のイボをつくる尖圭コンジローマのウィルスとして知られていますが、型によっては悪性腫瘍、なかでは子宮ガンを引き起こす危険が高いものがあります。

この高リスクHPVの感染率が10代後半で過半数、20代前半で40%弱とあらゆる年代で突出しています。HPVに感染していることがわかってもウィルスを消し去る薬はいまのところありません。気づかれぬまま広がり始めているHPV感染が今後子宮頸がんの急増という事態を招くおそれが多いことは、おそろしいことであります。



ひろがりつつある、HIV感染

 2003年、世界中が新型肺炎SARSの出現に恐れたのは記憶に新しいことです。中国政府が世界に公表しなかったことが感染拡大の要因であったことはいうまでもありません。

 HIV感染(エイズ(HIV))についても状況は似ています。WHO(世界保健機関)の指摘を受けて修正された数値された数値によると、2010年の中国のHIV感染者は、少なく見積もっても2000万人に達すると予測されています。

 日本でもあまり公にはされてはいないがHIV感染者は増加の一途を辿っています。これまで日本の感染者のほとんどが血液製剤と男性同性愛者、外国人娼婦でありました。

 しかし近年10代女性をはじめとする異性間性交渉による感染(STD(性病)性HIV感染)が増えています。マスコミがエイズ(HIV)を取り上げた時期はコンドームの使用率が急増し、クラミジア淋病の患者の減り、HIVの感染者数も減る傾向を見せました。

ところが薬害エイズ(HIV)問題以降、マスコミはほとんど無関心になってしまい、世の中からエイズ(HIV)が消えてしまったかのようになってしまったが、その陰でHIVがひろがっているのが事実です。



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