性病(STD)の治療

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STD(性病)に有効な薬は変化しています

 1929年、アオカビから作られたペニシリンの誕生は、STD(性病)の病原体にとってはやっかいなものだったと思います。ペニシリンをはじめ、他の微生物の発育を阻害する働きを持つ化学物質を「抗生物質」と呼びますが、抗生物質によって梅毒淋病、そしてクラミジアなどでSTD(性病)の治療は容易になったはずでした。

 しかし近年「容易」とはいいがたい状況になってきました。

 例えば「淋病」。
抗生物質の投与量を増やせば、それに比例して淋菌も死滅する割合が増えていくわけですが、抗生物質にさらされ続けると淋菌はこれに対抗する遺伝子を身に付けることになります。これを「耐性」と呼ぶが、耐性を身に付けた淋菌は投与量を少しくらい増やしただけでは死滅しなくなります。

 ペニシリン開発当時は感染症治療の特効薬としてもてはやされていたが、ペニシリン耐性を持った菌の増加とともに見向きもされなくなった。その代わりにペニシリン耐性を持った菌にも極めて強い抗菌力を発揮するキノロン系といわれる各種の抗菌剤が世界中で使用されるようになった。

 その結果今度はキノロン系への耐性を身に付けた菌体が増加するという事態が起こってきたのである。まるでいたちごっこであります。



クラミジア治療は根気が必要

 クラミジアは、自分では増殖に必要な栄養素を作ることはできないので、粘膜細胞の中に寄生して増殖をします。

 抗生物質や抗菌剤が最も効果を発揮するのは病原体の細胞分裂の時期です。ところがこの時期クラミジアは粘膜細胞の中に入り込んでいるので薬が効きません。ペニシリンやセフィムといった抗生物質は、細胞の細胞壁を壊すことで殺菌効果を発揮しますが、人の粘膜細胞に逃げ込んでしまったクラミジアには発揮されません。

 しかしクラミジアも潜りっぱなしということではなく、3~4日に一度、寄生していた粘膜細胞を破って外に出てきて感染を広げます。薬が有効な期間はこの時期だけです。さらにクラミジアのライフサイクルは長いので、それにあわせて長い治療期間が必要になります。



淋病治療は最初から

 淋菌は細胞分裂のスピードが速いうえに、細胞壁があらわになっているので薬がたくさんあるほど効果が出ます。淋病に対しては感染後なるべく早く、できるだけ薬の血中濃度を高めることが治療の成否を分けます。



早く確実に治すためには

 効き方が強力な薬剤はそれだけ副作用が出現する確率も高いです。

 めまいや吐き気、動悸などは比較的起こりやすい副作用です。腸内細菌が殺されてしまうためにひどい下痢を起こすこともあります。「早くて確実」な治療を望む以上、多少の副作用は覚悟しなければならないでしょう。



服薬中にやってはいけないこと

 STD(性病)の治療中にはやってはいけないことがあります。

 そのひとつに「服薬中のアルコールの飲まない」というのがあります。禁酒をするのは治療薬の副作用が出やすくなることもひとつの要因ですが、アルコールには治療薬の血中濃度を下げる作用があるのも要因となります。

 抗生物質は一定の血中濃度を保つことで、初めて病原体を駆逐する効果が発揮されます。服用した薬の血中濃度が有効血中濃度以下になるまえに、次の薬を服用する。このように一定の血中濃度を維持し続けることが重要になります。

 アルコールが入ると、抗生物質はあるが、有効血中濃度には届かないという状態を作ることになります。このような状態が続くと最も耐性菌が生まれやすい状態になるのです。



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